
新型コロナウィルスの流行によって、人と距離を取ることを意識することが強まりました。飲食店などでは隣席に間仕切り板を設置するなど、他者との距離感を意識する時代です。
それは不動産業界や建築業界においても同じであり、なるべく顧客と接近し過ぎないような営業方法を採用している会社が増えてきています。特に物件の内見については、顧客と担当者の距離が近づきやすいため、さまざまな工夫が必要なようです。
そこで、現在注目を浴びているのが、物件の無人内見です。担当者がわざわざ現地に行かずに、顧客だけで内見をしてもらう方法ですが、実際にどのようなシステムが使われているのか分からない人も少なくないでしょう。
そこで今回は建売物件の無人内見の需要と、実現するために必要なIoTシステムについて詳しく解説していきましょう。
新築物件の無人内見に注目が集まっている
無人のモデルハウスサービスを提供している頼人が消費者へ実施したアンケート結果によると、「対面形式だと気軽に見学しづらい」と応えた人は全体の93%が「そう思う」と回答しました。また、「非対面でのモデルハウス見学の態勢を整えている会社の印象」についての質問に対しても、98%の人が好評的に捉えています。

【コロナ時代の非対面サービス】無人モデルハウス見学システム「スマートモデルハウス」リリース より
新型コロナウィルスの影響により、消費者は会社に非対面化を求める時代に変わりました。それは新築物件の内見に当てはまっており、新型コロナウィルス流行の収束に目途が立っていないことから、将来のことを考慮した無人内見を導入する会社が増えてきています。
そして、無人内見システムを導入した会社は、その効果を実感していることが多いようです。
無人内見の集客効果について
実際に無人内見とチャット商談を導入したケイアイスター不動産は、非接触型営業の効果を実感しています。同社のプレスリリースによると、無人内見型モデルハウスを導入したところ、成約率が20%増加に加え、商談期間が約60%減少したと公表しました。
成約率の増加については、現地で営業担当者から強引な営業をされることなく自由に内見できる点が、消費者の不満解消に繋がって成約率の増加に繋がったと述べています。
また、チャット商談を導入することにより、お客様が好きな時間に質問などができる、来店するためのスケジュール調整を行う必要がないといった要因によって、従来の商談よりもスムーズに話が進むようです。
無人内見とチャット商談と、非接触型の営業を行うことで成約率増加及び、商談期間の短縮といったプラスの効果を与えてくれます。
無人内見システムの導入方法
プラスの効果を与えてくれる無人内見システムですが、いざ導入しようとしてもどのようにすればいいのか分からない人も多いでしょう。無人内見システムには、専用のIoT機器が必要になります。
では、具体的な導入方法について、ショウタイム24が提供する「無人内見システム」を紹介します。
無人内見システムの仕組み
ショウタイム24が提供している無人内見システムは、物件にスマートロックの鍵を取りつけて、顧客自身に玄関の開けてもらうシステムです。申込予定日時にスマートロックのワンタイムパスワードを伝えることで、顧客自身に鍵を開けてもらい、内見終了時には自動的に施錠されます。閉め忘れが無いようにオートロックも導入しているため、内見終了後に顧客が再度家に入ってしまうという心配がありません。
従来の内見は、営業担当者が物件の鍵を開けて室内の案内を行うものでしたが、スマートロックを導入することで営業担当者が直接物件に足を運ぶ労力と時間を削減することができます。
スマートロックを導入している物件は、ショウタイム24のポータルサイト「MUJIN24」に載せられるため、集客効果も期待できます。もし、顧客1人に内見させるのが不安という場合でも、室内にスマートカメラを設置するため、遠隔地にいても内見中のお客様の姿を確認することができます。
「MUJIN24」の諸費用
「無人内見システム」、は賃貸と売買で分かれていますが、今回は物件売買専門サイトである、「MUJIN24」について紹介していきます。MUJIN24を利用する際に必要なものは下記のとおりです。
入会申込金
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300,000円
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システム利用料(月額)
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10,000円/物件1戸あたり
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事前準備が必要なもの
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スマートロック
スマートカメラ
Wi-Fi環境
※機器の設置などはショウタイム24株式会社が行うため、オーナ側の事前準備はWi-Fiのみとなる
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スマートロックのようなIoT機器は運営会社が準備をしてくれるため、物件オーナーは入会申込金と物件にWi-Fi環境を整える準備が必要になります。年間手数料も安価のため、試しに1戸の物件だけ登録するのもいいのではないでしょうか。
新築ハウスメーカーの無人内見導入が進んでいる
「無人内見システム」の導入は、新型コロナウィルスの流行により、急激に進んでいます。2020年には京阪電鉄不動産が包括業務提携を行い、所有している住宅や事務所などにスマートロックを導入することを発表しました。
2021年になってからも、三栄建築設計が新築戸建てにスマートロックを関東で初めて導入をしたことを皮切りに、九州や北海道でも新築戸建てに対してスマートロックを導入する会社が出てきています。
このように続々と「無人内見システム」の導入を決める会社が増えていく中、これからどのように動いていけばいいのでしょうか。
これからの新築戸建ての内見
今後も「無人内見システム」の導入を決める会社も増えていくと考えられ、消費者も新型コロナウィルス感染の不安から、対面式での内見を避けるようになるかもしれません。
政府がIoT活用を推し進めているため、仮に新型コロナウィルスが収束したとしてもIoT機器を活用した無人内見システムが下火になるとは考えにくいです。
そのため、新築戸建てを扱うハウスメーカーなどは積極的に無人内見システムを取り入れることで、消費者のニーズに応えていく必要があります。現状では無人内見システムは新しい技術のため、実際に導入している会社の動向によって導入の可否を決めようと考えている会社も多いでしょう。
また、今後他にもIoT活用によって新しいサービスが生まれる可能性もあるため、IoT活用について最新の情報を入手しておきましょう。
まとめ
なるべく他者との距離を取ることが求められている時代に突入してから、非接触型サービスが急速に広まってきています。無人内見システムもその一つであり、消費者ニーズに対応したサービスとして、様々な会社が導入に乗り出しています。
導入方法も難しくはないため、今後はさらに無人内見が可能な物件が広まっていくことでしょう。もしかしたら、10年後には全ての物件が無人内見が可能になっているのかもしれませんね。